ボトックスとは、ボツリヌス菌のA毒素を製剤化したもので、アラガン社が開発したボツリヌストキシンです。
ボトックスには神経伝達物質の1つであるアセチルコリンが放出されるのを抑制する働きがあります。
つまりアセチルコリン作動性の神経がブロックされるのです。
筋肉や汗腺に分布するアセチルコリン作動性神経の働きを抑えることで、筋肉の収縮を止め、汗がでるのを減らします。
このため、額や眉間、目尻のしわにボトックス注射を行うことで、筋肉の動きが止まり、表情によってできるしわができなくなります。
わきや手のひら、足裏などに注射すれば、その部位の汗腺の働きが抑えられて、多汗を改善することができます。
エラやふくらはぎの筋肉に注射すると筋肉の収縮が抑えられるために、廃用性萎縮(つかわないことによる萎縮)がおこり、エラが小さくなり、ふくらはぎが細くなります。
たとえば骨折してギプスを長期につけていると動かせないためにその部分の筋肉がやせ衰えます。それを薬剤を用いて強制的に行っているのがエラやふくらはぎのボトックス注射となります。
神経をブロックする働きは即時におこりますが、効果が自覚できるのは、筋肉の動きや汗を抑える場合には数日、筋肉を痩せさせる場合は約1ヶ月かかります。
そしてその効果の持続期間は約3ヶ月~9ヶ月くらいとなります。