広島のさくら美容クリニック 美容皮膚科の基礎知識
答えは『何を治療するかによって最適なレーザーが違うから』ということになりますが、ここでは基礎となる理論をできるだけわかりやすく解説したいと思います
素人には難しいと感じられることもあるかと思いますが、これがわかれば、自分にはどのような治療があっているのかがわかりますし、『無駄な治療なのにすすめられるまま受けて効果がなかった』というようなことがなくなりますのでゆっくり理解しながらご覧ください
肌治療に関係する要素には、①黒（メラニン色素）や赤（赤血球）などの色と②コラーゲンなどの皮膚を立体的に構成する成分があります
黒が増えればシミとなり、赤が増えれば赤ら顔となり、コラーゲンが変化すればシワ、たるみ、ハリのなさにつながります
つまり治療としてはそれらを改善させてやればいいわけです
レーザー光などの光はその波長の長さによって、お肌の中の色素や水分に対する吸収のされやすさが違ってきます
それを表すグラフが次のグラフです
縦軸は光の吸収されやすさ、横軸は400nm～1100nmの光の波長を示しています
黒の線がメラニン（黒い色素）
赤の線が酸化ヘモグロビン（赤血球の中の赤い色素）
青の線が水への吸収されやすさです
メラニンはシミ治療に、ヘモグロビンは赤み治療に、水は肌のハリ（コラーゲン）治療に関連します
黒い線はなだらかに右にさがっていきますので、『波長が短いほど（グラフで左へ行くほど）吸収されやすく、波長が長いほど吸収されにくい』ということになります
赤い線は凸凹があります
これは上に向かって凸のところが吸収されやすいので、400nm代の前半や500 nm代の中盤から後半あとは少し低いですが750 nm以降に吸収されやすいピークがあります
水は800nm以降で吸収されやすくなります
これらの理由で、シミ治療には400nm後半から755nmくらいまでの波長を用い、赤み治療には585～595nmくらいの波長、肌のハリ治療には800nm以降の波長を用います
一方波長は長い（数値が大きい）ほど皮膚深くに届く性質があります
このため黒の線が波長の短い（数値の小さい）左側の波長だとメラニン（黒）への吸収はいいけれども深くにまで届かないので、シミの部位が深ければ届かないことになります。ルビーレーザーの波長は694nmで皮膚深くに届き、しみへの吸収もいいというバランスのいい波長です
またこの表には示されていませんが、パルス幅という光の照射時間やエネルギー量も効果に影響を与えます
周囲の組織を傷つけずに、治療するためには治療対象が小さければ小さいほどほんの一瞬で高エネルギーを照射するということが大切になります
シミ治療の時のメラニンは非常に小さいので、パルス幅の短い(照射時間の短い)Ｑスイッチレーザーが用いられます
レーザーが照射される時間がＱスイッチはns(ナノ秒),その他のノーマルレーザーではms(ミリ秒)と1000000倍照射時間が違い(1ns=0.000001ms)、Qスイッチレーザーは2億分の1秒といった短い時間だけレーザーがでているのです。
すごくまぶしい光を一瞬だけ当てるのか、それほどでない光をずっと当て続けるかの違いです
シミ治療を本当に熱心に行っているドクターは深くまで高エネルギー治療が可能なＱスイッチルビーレーザー(694nm)を必ずクリニックに導入しています。ＱスイッチYAGレーザーは肝斑のレーザートーニング治療に用いられているのですが、Ｑスイッチルビーレーザーの代わりにはなりませんのでそうした熱心なクリニックはＱスイッチルビーレーザーとＱスイッチYAGレーザーの両方を導入していることが多いです。
逆 に脱毛目的であれば毛を破壊するだけでなく、その周囲の毛の生えるもとにダメージを与えることが必要なためにmsレベルの長い照射時間でしかもさらに皮膚 深くに届くダイオードレーザー（波長800nm）やアレキサンドライトレーザー(波長755nm)を使用するわけです。
赤みも対象が赤血球や血管といった大きなサイズのものが対象ですから、赤みに吸収されやすい500nm代後半の波長をつかって、じっくりあたためるためにパルス幅の長い光がもちいられます
