アポクリン腺除去でなく脂肪除去手術?41県目のワキガ手術
2021年5月15日
再発のないワキガ手術を希望されて当院へは北海道から沖縄まで47都道府県中41都道府県の方がすでに治療に来られています。
今回の方は『他院で2回剪除法でのわきが手術を受けたものの効果がない』ということで当院での治療を希望されました。
まず見て驚いたのは脇が大きくくぼんでいることです。血管も浮き出ていてしかも毛も多量に残っています。もちろん傷も残っています。
これから予想できるのはアポクリン腺はもちろん残っている上に皮下脂肪が多量に除去されているのだろうということです。
わかりやすいようにマークをつけてみます。
赤が脂肪を除去されてくぼんでいる部分、青が周囲の脂肪を除去されたがために血管が浮き出てしまっている部分です。
切開してアポクリン腺を露出するために周囲から剥がし内部を観察すると脂肪がなくなっているのがわかります。
脂肪を除去してしまっている範囲に赤マークをつけてみると
このように脂肪を取られてしまっている部分がよくわかります。アポクリン腺除去を行うのに脂肪を除去する必要はありません。逆に脂肪に切り込むと出血してしまうので脂肪にはできるだけダメージを与えないように手術を行うのが普通だと思います。剪除法は目で見ながらアポクリン腺を剥がすので脂肪を皮膚側に付けずに正確に剥がすことができるのもメリットの一つです。他の方法だと見ずに無理やり剥がすために柔らかいところで剥がれてしまう(つまり脂肪の部位で割けてしまう)ので脂肪をとってしまうこともあるのですが、今回は前医で受けた2回目の手術も剪除法です。その時に瘢痕で硬くなって癒着していたにもかかわらず無理やり力づくで剥がしたため脂肪が割けて結果的に脂肪を大きく除去してしまっているのだと思います。
脂肪を除去してしまっているがために本来はそれより深くにある血管が表面に見えてしまっています。
わかりやすいように血管に青マークをつけると
これが形成外科専門医を標榜しているクリニックでの手術なのも驚きです。
瘢痕部分はパッと目にはアポクリン腺がわかりにくいですが明らかにアポクリン腺が残っているところもあります。
前医での2回目の手術を受けた時に『今回はたくさんとっておきました』と言われたということですが、この結果からみるとアポクリン腺をたくさんとったのではなく、脂肪をたくさんとったことになってしまっています。
アポクリン腺を完全に除去すると
今回の手術でワキガは治ります。
どのような基準でクリニックやドクターを選びます?