筋肉が発達していてもアポクリン腺はきちんと除去できます

わきがのご相談の方が『筋肉が発達しているとアポクリン腺が取りきれない』という説明を他院で受けたということでした。


当院で手術を行っていてたとえ男性で筋肉が発達している方でも皮膚を裏返しにくいということがあってもアポクリン腺が取りきれないということはこれまでありません。


想像するに皮膚を裏返しにくいのでそう説明しているのか、あるいは筋肉が発達しているとワキが平坦でないのでアンカー縫合を非常に丁寧に行わないと皮膚が浮いてしまうのでそう説明しているのかもしれません。

どういうことか写真を使って説明します。

次の写真はアポクリン腺を除去した後、皮膚が浮かないようにアンカー縫合している途中の写真です。

右方のまばらにアンカー縫合を行っている部分をみると糸の部分がへこんで見えます。これは糸と糸のあいだの皮膚が浮いているのです。

横断面のイラストにしてみると

赤が表面の皮膚で黒い部分が奥の組織です。青いところがアンカー縫合で縫い付けたところです。アンカー縫合が少ないと赤で示す皮膚と黒の底部分の間に空間ができてしまいます。空間に緑の斜線を入れます。

つまり緑の斜線部分が浮いてしまっているのです。

アンカー縫合を丁寧に増やすと

イラストにすると

皮膚が奥に密着しているのがわかります。

手間がかかってもこのように丁寧な縫合を行うことで傷の治りをできる限り良くなるようにしているのです。